宝物をくれた、日本・イギリス・中国の仲間にありがとう。
「あなたにとって、いちばん好きなことは?」って聞かれたら、なにを思いうかべる?……いきなり聞かれても、ちょっと答えづらい?
では先に、わたしが答えます! わたしにとって、いちばん好きなこと。それはずばり、「仲間とサッカーをすること」。もう心の底から、私はサッカーが好きです。
でもね、サッカーだったらなんだっていいわけではないの。大切なのは、そのサッカーを「仲間とする」こと。サッカーの仲間とすごした日々こそ、わたしにとって一生の宝物。そうそう、ふりかえるとね、わたしはいろんなタイミングで、いろんな仲間に助けてもらったの。
まず頭にうかぶのが、わたしが小学生だったころ。わたし以外はみんな男の子、しかもその男の子たちとはほぼ初対面、というチームで練習することがあったの。みんなはそういうこと、これまでにあった?
わたしは男の子にまざってサッカーをするのはなれていたけど、そのときの男の子たちはわたしにどう接したらいいんだろう、という感じ。だから、二人一組でやる練習とかがはじまると、男の子たちは男の子たちとペアを組んで、わたしがひとりぼっちになっちゃうことが、けっこうあったの。
でもね、そういうときにいつも、チームに一人か二人、「おう、やろうぜ!」と声をかけてくれる明るい子がいてね。わたしから声をかければいいのだけど、はずかしくてできない。そんなとき、わたしのほうへ一歩踏み出してくれた仲間がいて、ほんとうに心強かったなあ。
心強いといえば、わたしがいたイギリスのチームの仲間もすごかった! そのチームは監督が急にやめることになり、チーム全体に不安な空気が。そんなとき、練習を終えて自宅に帰ったら突然、ピンポーン。玄関をあけたら、なんと、そこにはさっきまでいっしょに練習をしていたチームメイトが3人。
「ゆかりも私たちも、みんな心配することはないからね。こういうときこそ、練習と試合に集中しよう」
その一言を言うために、練習を終えて疲れているのに、わざわざ私の家に来てくれたの。「わたし、そんなに不安そうだったかな?」とちょっと反省もしたけれど、自分のことを大切におもってくれる仲間がいることが、ほんとうにうれしかったなあ。
最後にもうひとつ、涙が出そうになったのが、わたしが中国のチームに入った一日目のこと。わたしが寝泊まりする部屋に行くと、そのチームの監督とチームメイトが全員集合!
「ええ、なにがはじまるの?」とあたふたしていたら、みんなわたしに中国語でどんどん話しかけてくる。スキンシップも激しい。正直いって、言葉はよくわからなかった。でも、みんなが力いっぱい、わたしのことを受け入れてくれていることを肌で感じて、会ったばかりなのに、あれは家族といっしょにいるような安心感だったなあ。
そういう「自分が思ってもみなかったことを、だれかにしてもらった」みたいな経験、みんなにもぜひ思い出してみてほしいなあ。きっと、あると思う。
あとね、わたしがおもしろいなあと思うのが、だれかにそういうことをしてもらうと、今度は自分がだれかの力になりたい! 恩返ししたい!って思ってくるんだよね。だれかが勇気を出して、わたしに声をかけてくれた。だから困っていそうな子がいたら、次はわたしから声をかけてみよう、って。
やさしい気持ち、すこしの勇気が、となりの人から自分へ、自分からまたとなりの人へ。仲間って、そういう風にして、ちょっとずつ増えていくのかもね。みんなにも、一生の宝物と言えるような、すてきな仲間との日々がきっと待っているよ!